TV.実践女子学園
実践女子学園TV講座のインターネット配信がはじまりました。従来はケーブルテレビを通した配信のみでしたが、これからは地域を問わずご覧いただけます。
日本舞踊(1)
(収録 2004年)
Part2(後編)をみる
講師:芦川 芳子(日本舞踊家 実践女子学園生涯学習センター 講師)
日本舞踊の歴史
1603年、京都の四条河原で出雲阿国が踊ったものが日本舞踊のルーツ。
阿国歌舞伎から遊女歌舞伎、若衆歌舞伎を経て、現在の野郎歌舞伎に発展する。
歌舞伎の舞踊家が町に稽古場を構えたものが日本舞踊のはじまり。
江戸の娘は、読み、書き、そろばんに加え、日本舞踊で礼儀作法の教育を受けた。
「稽古」の話
日本舞踊では練習のことを「稽古」という。
「稽」とは学ぶこと、考えること。つまり、「稽古」とは先人の知恵や伝統を受け継ぐという意味。
心構え
礼から始まり、礼に終わる。
正しい姿勢を身につけることが必要。
西洋の舞踊 東洋の舞踊
クラシックバレーは、上を目指す動きをする。
これは、ヨーロッパ人が騎馬民族であったことや、キリスト教の信仰と関連している。
一方、農耕民族で、大地の神を信仰するアジアでは、踊りの重心は下に行く。
日本舞踊は足袋を穿いて踊るが、裸足で踊ることもしばしばである。
大地にしっかり腰を下ろすことが日本舞踊の特徴。
腰・肚の文化
日本の諺に腰、肚に関わるものが多いのは、日本人が帯をして生活したことに由来する。
腰を入れる
足を揃える「一束」の姿勢から、重心を下に沈め、重心が上下動しないように歩く。
「外輪」=立ち役(男役)の立ち方。
「内輪」=女役の立ち方。
日本舞踊の表現「歩く」
日本舞踊では役柄によって歩き方が異なる。
武士の歩き方。刀の重みを表しつつ、力強く。
船頭・鳶頭の歩き方。つま先から、粋に歩く。
商人の歩き方。ひざを曲げて軽やかに。
幼女の歩き方。足を上げ、元気に歩く。
娘の歩き方。足を上げず、擦って歩く。
芸者の歩き方。重心をやや前にかけて、颯爽と歩く。
遊女の歩き方(外八文字)。なんばと呼ばれる歩き方。
獣足と鳥足。
波足。水中から現われた神や妖怪の歩き方。
日常応用編 きものを着たときの歩き方
着物を着た際は、膝から下で歩く。やや内股で、裾が乱れないように歩く。
走らなければならないときは、右手で裾を押さえ、膝から下を意識する。
褄が下がったときの直し方。
歩くときは、手を軽く体の脇につけ、手を振らずに歩く。
振袖の袂を膝に置き、膝の上に手を乗せ、軽く背筋を伸ばして座る。
着物のショールは、会場内では外すのがマナー。
所作舞台
日本舞踊の舞台を所作舞台と呼ぶ。「板につく」という慣用句は所作舞台の板に由来する。
所作舞台の板はヒノキで、足がよく滑り、音がよく響くように細工されている。
日本舞踊の表現「すべる」
歩いているさまを様式化したものが「すべり」の動き。
日本舞踊の表現「踏む(拍子)」
陰陽道の呪術行為「反閇(へんぱい)」が日本舞踊に移ったもの。三味線のリズムに合わせた、様々な「足拍子」がある。これに手の動きをつけ、拍子のバリエーションを増やす。
長唄「京鹿子娘道成寺」における踊り。
日本舞踊(2)
(収録 2004年)
舞・踊・振り
「舞」は「回る」を語源とする。古代の宗教の儀式を起源にもつ。
「踊」は跳躍。「振り」はものまね的なしぐさであり、パントマイムに近い。
上半身の動き
日本舞踊あるいは東南アジアやインドの舞踊は、西洋の舞踊に比べて上半身の動きが繊細で複雑である。
首の動き
回す、振る、曲げる、上下の組み合わせで、三つ振りと呼ばれる動きを作る。
子どもの振り方。元気よく、頬を出す。
娘の振り方。胸を使う。
立ち役(男役)の振り方。
同じ立ち役でも、町人などの軽い男、荒事(強い男)、
奴のように役柄で振り方を区別する。
手の動き
四本の指を揃え、親指を乗せる。これにより手を小さく見せる。歌舞伎の女役。
鬼の手、狐の手、猫の手、張り手など、指を開く特殊な例もある。
手は日本舞踊の美しい動きを作るうえで補助的な役割を果たす。
かいぐり
「かいぐり」という回す動作が、日常の動きを表現する。
人を呼ぶ、帯を締める、着物を着るなど。
長唄「雪月花」
日常応用編 袂―たもと
吊革につかまるときは袂を手で持つ、ものを拾うときは袂に手を添えるなど、手を露出しないように心がける。
目の動き
何もないものを、目遣いで表現する。心理描写も同様。
目遣い
目のみならず、顎、首も動かす。
鳥などの動き、遠くの景色、近くのもの、対象の高さによって目遣いを変える。
目遣いは、日本舞踊の基礎であり、奥義でもある。
祭り
江戸で日本舞踊が流行したのは、山王祭や神田祭によるところが大きい。
「附祭(つけまつり)」と呼ばれる芸能が江戸の娘たちの晴れの舞台だった。
現代の八王子祭における曳き子踊り。
日本舞踊 未来に向けて
「こだまでしょうか」
日本舞踊を学校教育の場で実践するために作られたもので、金子みすずの詩に琴の演奏と振りをつけたもの。
詩の内容を考えること、声を出すこと、体で表現することをテーマにした踊り。
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