TV.実践女子学園
実践女子学園TV講座のインターネット配信がはじまりました。従来はケーブルテレビを通した配信のみでしたが、これからは地域を問わずご覧いただけます。
公衆栄養学って何?(1)
(収録 2004年)
Part2(後編)をみる
講師:細川 優(実践女子大学 生活科学部 食生活科学科 教授)
1.公衆栄養学とは
集団の健康を維持・増進し、疾病予防を図る学問が「公衆衛生学」。
なかでも、栄養問題が関わった健康問題を解決する学問が「公衆栄養学」。
「公衆栄養学」の目的は、病気の治療ではなく予防である。
栄養に関する知識と技術を啓蒙・普及し、集団の健康増進を図ることにある。
生活習慣を改善することにより、生活習慣病の発症を誘発するリスクファクター(要因)の発生を抑える。
生活習慣病の発症する前にはリスクファクター(危険因子)の発生が見られるようになる。
リスクファクターの出現には、遺伝的要因とともに生活習慣が大きく関わっている。
生活習慣を栄養教育・食事指導によって改善する知識を一般に啓蒙するのが公衆栄養学が目的(=一次予防)
ヘルスプロモーション活動
公衆栄養学は健康に関する知識や技術を啓蒙・伝授する。
この活動における栄養教育やキャンペーン運動などの取り組みは、公衆栄養運動と呼ばれる。
(例)マタニティクッキング教室
2.日本人の健康状態と公衆栄養学
日本人の食生活は主食(米)一辺倒から、多様化・欧米化・副食重視へと変化し、動物性の食品・油脂類の摂取が増加した。
これにより、日本人の栄養状態は大きく改善され、その好影響は平均寿命の延長や小児の平均身長の伸びなどに現われている。
一方で、日本人の栄養状態の変化は、日本人の死因にも影響を与えている。
戦前の主要な死因は結核などの感染症であったのに対し、終戦後は生活習慣病(悪性新生物・心疾患)が増加している。なお、脳血管疾患は動物性たんぱく質・脂質の摂取の増加により血管が丈夫になったため、死亡率は低下している。
現在最も多い死亡原因はガン、次いで心疾患、脳血管疾患である。
これらは代表的な生活習慣病であり、日本人の60%は生活習慣病によって死亡している。
2200万の高齢者を抱える日本では、国民医療費は30兆円を超えている。
日本は欧米諸国と比較して寝たきりが多い。
現在、日本に介護の必要な高齢者の数は約270万と推定される(全体の13%)。
脳血管疾患の発症率が高い日本では、その後遺症で寝たきりになる高齢者が多く、次いで骨折など骨粗鬆症に関連した原因が多い。
3.公衆栄養学が必要とされる背景
日本人の健康状態の是正を目的に、健康日本21(平成12年より)、健康増進法(平成15年より)が実施・施行される。
健康増進法においては、健康な生活習慣を理解し、健康増進に努めることが国民の責務とされ、国・自治体・事業者は健康増進を支援しなければならないとされる。
健康日本21は、昭和50年代より増加した生活習慣病(成人病)を予防するために実施された第一次国民健康づくり対策(昭和53年〜63年)、第二次国民健康づくり対策(昭和63年〜平成10年)に続き、第三次国民健康づくり対策として実施された。
栄養・食生活分野においては、一例として脂肪エネルギー比、食塩摂取量の減少、野菜摂取量の増加のほか、朝食欠食者の減少が目標とされている。
朝食の欠食は、夜遅くにエネルギーを摂取することになり、結果として肥満を助長する。
※次回のイントロダクション
まず朝食を採ることで、一日のリズムが開始される。
朝食欠食については、例えばブドウ糖の補給がなされず、脳が十分に活動しないというリスクがある。
朝食欠食の原因としては、生活の夜型化に伴う遅い夕食が挙げられる。
最後に、いかなる朝食が望ましいかについて言及する。
公衆栄養学って何?(2)
(収録 2004年)
イントロダクション
平成12年から実施されている健康日本21では、九つの分野のうち、栄養・食生活を最も重要な項目として位置づけている。
健康日本21における栄養・食生活に関する改善項目。
朝食の欠食者は女性より男性に多く、年代別に見ると20歳代、30歳代に多い。
最近15年においては欠食者の割合は20歳代では減少傾向にあるものの、30歳代以上には増加がみられる。
4.朝食の役割
朝食を採らないと、消化器官の運動や消化液の分泌が始まらず、
便秘傾向に拍車を掛ける。
脳の唯一の活動源であるブドウ糖を摂取しなければ、
睡眠時に消費されたブドウ糖を補給しきれない。
また、栄養素の代謝による体温の上昇についても朝食が不可欠。
5.朝食欠食によるリスク
朝食を欠食すると、エネルギー・カルシウム・鉄の摂取が必要量に満たなくなる。
特にカルシウムについては6割程度しか摂取できず、鉄については鉄欠乏性貧血を引き起こす。
6.なぜ朝食を欠食するか
朝食欠食者の3人に1人が高校生以前から欠食の習慣をもっていることから、家庭での教育が大きく影響していることが分かる。
朝食欠食者は、夕食時間の遅さも特徴であるが、近年では、日本人の夜型の生活への移行により、夕食時間が遅くなりがちである。
また、一人暮らしにより時間の使い方が不規則になることも欠食の要因である。
9時以降に夕食をとる人は30歳代に最も多く、11時以降にとる人は20歳代に最も多い。
夕食から寝るまでの時間が短いと、エネルギーの消費量が少ないため、肥満や胃のもたれによる食欲不振の原因になる。夕食後の間食も胃もたれの原因になる。
朝食においては、脳や神経のエネルギーになるブドウ糖を補給するでんぷん、体温を上昇させるたんぱく質のほか、エネルギーの代謝を円滑にするビタミン・ミネラルを多く含む果物や緑黄色野菜の摂取が必要。
なるべく夕食後の間食を避け、どうしても仕事で遅くなる場合などは夕食後に休憩をとる習慣づけなどの工夫が有効。
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