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万葉集の七夕歌
― 意外な来歴、日本の文化・文学の特質に迫る ―(1)
(収録 2005年)
Part2(後編)をみる
講師:池田 三枝子(実践女子大学 文学部 国文学科 教授)
万葉集の七夕歌(しちせきか) -中国の伝説と日本民俗との融合
琴座のベガ(織姫)とわし座のアルタイル(牽牛)
天帝の娘と牛飼の若者の悲恋物語
本来の中国の伝説 → 織女がくるまに乗って、かささぎの橋を渡って、牽牛に会いに行く。
日本では → 牽牛が舟か徒歩で織女に会いに行く、と逆転が起きている。
漢語読みでなく、通常「たなばた」と詠んでいる。
万葉集 現存する最古の歌集
奈良時代、700年代後半に編纂される。
4500首の歌
3大部立(ぶたて)
雑歌 公の性質を持った宮廷関係の歌
相聞 男女の恋を詠みあう歌
挽歌 人の死に関わる歌
4つの時代区分
額田王(ぬかたのおおきみ)
柿本人麻呂、高市黒人
山上憶良、大伴旅人、山部赤人
大伴家持
上代文学とは
中国の文化レベルの圧倒的な高さ。
それを吸収しようとすることから、日本土着の文化と衝突し、新しい文学作品も生まれる。
→ 万葉集の七夕歌
七夕伝説の由来1つの説
漢水流域の絹織物に関連する男女の恋物語が、天上の二星逢会へと移行したという説。
漢水を天の川に見立てている。
この先進技術が日本に伝えられると同時に、この物語も伝えられたという説。
中国の七夕詩
毛詩
紀元前1100−600年頃の詩集にすでに「織女」の記述がある。
万葉集における七夕の詩
ひこほし(牽牛)
明らかな中国伝説の影響があるが..
たなばたつめ(織女)
棚(建物の形状)の機の中にいる女の意味
神様の訪れを待ちながら、織物を織っている女性
来訪神
これが、七夕伝説を受け入れる土壌。
古事記の神話
「天の安の河」として表記されている。
万葉集の七夕歌(しちせきか) - 万葉歌の表現と日本文学の特質
4つの部分に集中。七夕伝説がまだ一般化していなかった証拠。
万葉集の七夕歌
― 意外な来歴、日本の文化・文学の特質に迫る ―(2)
(収録 2005年)
年中行事
年に7回節会が行われていた。
7月7日に行われた節会にのみ歌われたと思われる。
これらの節会の多くは、いまだに生活に残っている。
7月7日 相撲(すまり)節会
持統天皇のときに定着するが、それ以前にも漢詩が多く作られていたと思われる。
漢詩を作る作詩の場は、同時に歌を作る作歌の場にもなった。
同じような場で、同じ日本人が七夕歌を作ったと思われる。
漢詩と和歌で、違った七夕歌が作られて行く。
漢詩の例
織女が天の川を渡っている。
万葉集の例
牽牛が舟を漕いでいる。
日本の習俗
妻問婚。それだけで十分な理由にならない。
漢詩という表現媒体で、主体が異なってくる。
大和歌では、日本文学の伝統へと変化していく。
万葉集における「背徳の詩」
伝統的な日本文学では、女性から男性に迫ることは異常事態(異人性)。
源氏物語では、老女。
牡丹灯籠では、幽霊。
この日本文学の伝統が現代でも生きている。日本では誘うのは男性という根強い固定概念。女性から告白するためには、バレンタインデーのような外来種の行事が必要とされる。
古典を学ぶ楽しさは、こうして現代をも知ることではないだろうか。
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